緊急《きんきゅう》会議を開いた。まず富士男が口をきった。
「かつてケートおばさんが話されたように、悪漢どもの船は航海にたえないほど、大破損《だいはそん》はしていない、それなのにかれらはいまだに立ち去るようすもなく島をうろついている。これはなにか理由がなければならない。船を修復《しゅうふく》する器具がないことも理由の一つかもしれないが、もっと重大な理由がひそんでいるように思われる。ぼくは空中から連盟島の東のほう、島からあまり離《はな》れていないところに、一大陸地のあることを知った、連盟島はまったくの孤島《ことう》でなく、東方の大陸かあるいは群島を有する一無人島なんだ、悪漢どもはそれを知っているのだ、これがかれらを島におちつかせている大きな理由だと思う」
「じゃ、失望湾で見た沖の白点はやっぱり島だったのですか?」
 とモコウがいった。
「そうだ、あるいは大陸かもしれない」
「ぼくらはまた救《すく》われる希望があたえられた」
 とサービスが目をかがやかしていった。
「ぼくは探検《たんけん》にでかけよう!」
 とドノバンがいった。
 一同は悪漢のことも忘れて、新しい発見に昂奮《こうふん》した。
「諸君! それは第二の問題だ、ぼくらは目前にせまった敵に、いかなる方法で戦うかを、考えなければならぬのだ」
 とゴルドンが冷静《れいせい》にいった。
「そうだ、悪漢どもが、なぜ二週間ちかくもこの島にとどまってるかは、かれらが島の近くに陸地のあることを知ってるからだ、かれらは気長くここにとどまって、時機の熟《じゅく》するのを待っている、かれらは早晩自分らの住まいを求《もと》めるだろう、いまは東方川の口に宿《やど》っているが、一歩転ずれば平和湖を発見するだろう、湖畔《こはん》にそってさまよううちには、この左門洞のほとりに出るかもしれない。ぼくらは早く防備をめぐらさねばならぬ」
 凶悪《きょうあく》な海蛇《うみへび》がギロギロ目を光らして、洞前に立ちふさがってでもいるような恐怖《きょうふ》が、一同の胸をしめつけた。
「洞門に防壁をつくって戦おう」
「広場におとし穴をいくつもいくつも、つくったらいい」
 いろいろな声がとんだ。
「なによりまずぼくらは、敵に発見されないことが肝要《かんよう》だ」
 とバクスターがいった。
「そのためには洞の表と裏の入り口を、まつ、すぎ、灌木《かんぼく》の枝でお
前へ 次へ
全127ページ中98ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐藤 紅緑 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング