さかきみは、くじでいけにえをきめようというのではなかろうね」
「そんなことはしないよ、ぼくを信じてくれたまえ」
「そうか、ぼくは余《あま》り感心しないよ」
とゴルドンは、富士男がとうてい意志《いし》をひるがえすことがないのを知って、室を去った。
翌日主任バクスターの指揮のもとに、一同はたこの改造に着手した、だが、バクスターがいかに工学的の知識があるといっても、まだ子どものことである。人間ひとりをもちあげる重量や、たこの面積や、重力の中心、およびこれにたえるべき糸の太さなど、精確《せいかく》に比較考査《ひかくこうさ》する十分な知識はない、ただ従来《じゅうらい》のたこの飛揚力《ひようりょく》を試験して、さらにこれを拡張《かくちょう》するほかにしかたがない、すなわち、約六十キログラムぐらいの重量をのせてとべるほどの大きなものと見当《けんとう》をつけた、この重量は、連盟員中の最重量者の目方である。二日の苦心さんたんの改造は、直径《ちょっけい》四メートル半、毎辺の長さ一メートル二十、面積およそ五十平方メートルの、八角形の大だこをつくりあげた。たこの尾には、一つのかごがとりつけられた、これはサクラ号の甲板《かんぱん》にあったもので、このなかにひとりがはいってあがるのである。
「ゆれて落ちるようなことはないだろうか」
とひとりが心配そうにいった。
「それは実験《じっけん》すればわけはない」
とサービスがいって、素早《すばや》くかごのなかにはいった。それはすわって乳のあたりまでかくれた。
「ほれ、だいじょうぶだ」
とサービスが得意《とくい》げにさけんだ。
「でも空にあがっても、おりたくなったときはどうするんだい」
と善金《ゼンキン》がいった。
「それは、かごのふちに一|条《じょう》の糸をつけておく、糸には一個の鉄環《かなわ》をとおしておいて、糸のはしは地上のひとりが持つんだ、おりたくなったら、上から鉄環をはなてば、それがあいずになる」
とバクスターが、ポケットから一個の鉄環を出して一同にみせた。
「じゃすぐあげてください」
と幼年組ははしゃいでさけんだ。
「いや、それは晩まで待ってくれたまえ、まっ昼間にあげては、悪漢どもにわざわざぼくらの居所《いどころ》を知らせるようなものだ」
と富士男が一同のはやる心をおさえた。
夜がきた、南西の風が吹いて、たこをあげるにはか
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