章がうまいんです」
「このあいだ男の子と歩いているのをお松が見たそうだよ」
「男の子とだって歩きますよ、ぼくも女の子と道づれになることがある、隣の珠子《たまこ》さんが犬に追われたとき、ぼくはおんぶして帰ってきた」
「おまえはなんとも思わないかね」
「だいじょうぶですよお母さん、文子は決してばかなことはしませんよ、ぼくの妹です、あなたの娘です」
「そうかね、それならいいが」
 母は安心して室《へや》をでた、あとでひとり光一はテーブルにほおづえをついて考えこんだ、文子が毎日|晩《おそ》く帰る、たまに早く帰っても道具をほうりだしたままどこかへでてゆく、それについては光一も面白からず思っている、のみならず、このごろはしみじみと話をしたこともない、母の言葉によってさてはなにかよからぬことがあるかも知らぬ、と思ったものの、母に心配をかけるのはなによりつらい、できることなら自分ひとりで事の実否《じっぴ》をきわめてみたい、そうして不幸にも妹に危険なことがあるなら母にも父にも知らさずに、自分ひとりで万事を解決してやろう、こう思ってわざと平気を装《よそ》うて母に安心さした。
 だが文子ははたして悪魔の手に
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