り読みおわると翌日また別なのを読みにくる、こういうのはただ読んでゆくだけだから罪が軽いが、ひどいのになると五、六人団結してあれやこれやとひっくりかえしてその混雑にまぎれてふところへかきこむ。大抵《たいてい》はその顔を知っているものの、ことをあらだてるとかえって店の人気がなくなる。そこでおかみさんの癇癪《かんしゃく》が小僧の頭に破裂する。
「おまえがぼやぼやしてるからだよ」ぴしゃりッ。
小僧だって朝から晩までどろぼうのはり番をするということはなかなかつらい、かれは十七になるが、十三か十四ぐらいにしきゃ見えない、毎日毎日頭をなぐられるから上の方へ伸びないのだとかれ自ら信じている。
文子《ふみこ》は新刊の少女雑誌と英語の雑誌を買った、それから書棚を見ると漢文の字典があったのでそれを引きぬいた、それでやめにしようと思ったがこのときかの女は現代名画集というのを見た、それは叢書《そうしょ》の第一巻でかの女がつねにほしいほしいと思っていたのであった。かの女はそれもひきぬいておかみさんにいった。
「これだけでいくらですか」
おかみさんはこれが柳家《やなぎけ》の令嬢だとは気づかなかった。
「五円六
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