うてん》に水色のちょうちょうのリボンをつけているが、それが朝日に輝いていかにもかわいらしい、かれはまた文子の長いえび茶のはかまやその下から見えるまっすぐな脚《あし》と靴の恰好《かっこう》が好きであった。文子は洋服よりも和服が似合う。文子はまただれよりも兄さんが好きであった、野球試合のあるときにはかの女はいつも応援旗を持ってでかけた、兄さんが負けたときには家へ帰って夕飯も食べずに寝てしまうのでいつも母にわらわれた。
そのくせふたりはおりおり喧嘩《けんか》をした、文子の一番嫌いなことは顔がふくれたといわれることである。
「おい、おまえの頬《ほ》っぺたがだんだんふくれてきたね」
「いいわ」
「後ろから見るとほっぺたが耳のわきにつきでてるぞ」
「いいわ」
「ぼくが八百屋の前を通ったらおまえの頬《ほ》っぺたを売ってたよ、買ってこようと思ったら丸いなすだった」
「いいわ、兄さんだって鼻の先にニキビがあるじゃないの?」
「これはじきなおるよ」
「口のはたに黒子《ほくろ》があるから大食いだわ」
「食うに困らない黒子《ほくろ》なんだ」
喧嘩のおわりはいつも光一が母に叱《しか》られることになっている。
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