こうこう》から侵入するために、大抵《たいてい》の人は喉《のど》の渇きを感ずる、ここにおいてラムネを飲んだりサイダーを飲んだりする。足元はどうかというとみかんの皮や南京豆《なんきんまめ》のから、あらゆる不潔物ではきだめのごとくみだれている。
かくのごとく無知で不行儀な客を相手にするのだから興行師もそれ相当に不親切をつくすことになる。
「こんなきたないはきだめによくがまんができるものだ」と光一は思った。
写真は西洋のもので、いやにきらきら[#「きらきら」に傍点]針のような斑点《はんてん》が光って見えるおそろしく古いものであった、光一はだまってそれを眺めた。ひとりの男とひとりの女が現われて肩に手をふれあった。見物人は声を挙げて喝采した。光一は思わず目を閉《と》じた。それはいやしくも潔白な人間が目に見るべからざる不純な醜悪な光景である。
「ばかやろう!」
見物人の拍手の音の中でわれがねのようにどなったものがある。
「毛唐《けとう》のけだものめ、ひっこめ」
声は彰義隊《しょうぎたい》であった、かれは光一のちょうど鼻先にじんどっていた。
「おい」と光一は肩をたたいた。
「おう」
彰義隊は
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