う》、ふたりの対照はたまらなく美しい。
「柳!」
「小原!」
 この声と共に学校の応援歌がとどろいた。黙々《もくもく》の第一打者は五大洲である。かれはかんかんにおこっていた。かれは頭の鉢巻きをかなぐりすてたとき、その斑々《はんぱん》たる火傷《やけど》のあとが現われたので見物人はまたまた喝采した。
 柳は静かに敵の姿勢を見やった、そうして美しいボディスイングを起こした。のびのびとした四肢《しし》や胴体のあざやかさ、さながら画に見るがよう、球が手をはなれた。五大洲がバットをふったかと見ると球は左翼の頭上はるかに飛んだ、外野手は走った、内野手も走った、陣営|騒然《そうぜん》とみだれた、小原はあっけに取られてマスクをぬぎ捨てたまま本塁に立っている。
「ホームイン」
 五大洲の一撃で一点を恢復《かいふく》した。このとき三塁の背後の松の枝高くらっぱの音が聞こえた。ついで気違《きちが》いじみた声!
「もくもく万歳! もくもく勝ったぞ」
「ぷうぷうぷうぽうぽうぷう」
 らっぱは千三の伯父覚平で、叫んでるのは善兵衛である。
 この声援と共にここにおどろくべき声援者が現われた、それは製粉会社の職工四、五十
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