ろ》へども、これは今更《いまさら》の事に候《そろ》はず、東京《とうけふ》闢《ひら》けて銀座の大通《おほどほ》りの如《ごと》く、転変《てんぺん》の激《はげし》きは莫《な》しと某老人《ぼうらうじん》の申候《まうしそろ》其訳《そのわけ》は外充内空《ぐわいじうないくう》の商略《せふりやく》にたのみて、成敗《せいはい》の一挙《いつきよ》に決《けつ》せんと欲《ほつ》し候《そろ》人の、其家構《そのいへかま》へに於《おい》て、町構《まちかま》へに於《おい》て、同処《どうしよ》を利《り》と致候《いたしそろ》よりの事《こと》にて、今も店頭《てんとう》に堆《うつたか》きは資産《しさん》に非《あら》ず、負債《ふさい》なるが多きを占《し》むるよしの結果に候《そろ》、
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通抜《とほりぬけ》無用の札を路次口《ろじぐち》へ貼《は》つて置くのは、通抜《とほりぬけ》らるゝ事を表示《へうし》するやうなものだと言つた人があるが僕も先刻《せんこく》余儀《よぎ》なき用事で或抜裏《あるぬけうら》へ一足《ひとあし》這入《はい》るとすぐに妙《めう》なる二つの声を聞いた亭主《ていし》曰《いわ》く、いつまで饒舌《しやべ》つて
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