にこの附屬の成分を發見して居るし、レヴィンは人間の學習にその成分を認めて居る。
次にソーンダイクの同一視は、形態心理學に於て、ある構造は安定して居り、ある構造は不安定であるといふことに近い。ゴットシャルトは最も簡單な且つ最も普通に經驗される幾何學的圖形の再認を命ずると、その再認圖形はそれの全體的圖形によりて影響されるといふ結果を得た。即ちある構造は安定性に於て相違するから、ある構造の部分は他の構造の部分よりも遙かに分離され易く、而して新な全體の部分になりて安定を得るといふのであるが、ソーンダイクが結合する反應又は状態の質によりて結合が容易であり又は困難になるといつたことゝ相似て居るやうに思はれる。又構造の安定性は經驗の多少有無によりて影響されるものでないとのゴットシャルトの結論は、ソーンダイクと同一の事を考へてゐるともいへよう。
次に反應が役に立つといふソーンダイクの條件は、シュワルツの實驗と關係を有し、氏は反應の有用性は、その反應を含む全體の構造によるとする。構造の安定性に變化が生ずると、一定の反應がその全體から分れて表はれてくる。即ち構造の安定性が新しい反應の出現を規定するもので、一定の状態に學習又は習慣構成を生ずるか否かはこの安定性に基づくものである。かくして有用といふことは構造の安定性と關係があるといへる。
次に試行といふことには、ある問題が與へられると、それを解決せんとて種々の行動を試みることの意味も含まれて居る。而してその目的が達せられると、その種の行動は止まつて他の行動に轉ずる。それは遠くにある目標の知覺、緊張が無くなること、平衡を得ること等と關係し、更に動機づけについての形態説の根本概念と關係して居る。
最後に系統といふことも、聯合的習慣を形造るのであるから、精神生活の根本的な動的形體を取る結合で、その結合は組織とか構造を作り上げることを意味すといへるのである。
三
以上は形態説とソーンダイクの主張とを、双方から少しく歩み寄らせた上のことであるが、兩者の間には尚越ゆべからざる空隙がある。今少しくソーンダイクが結果の法則に連關して述べて居る所を引用して見よう。
心理學者は學習の原因として、滿足することに力を與へることを恐れ、それは、相互作用、快樂説、神秘説、快樂論的意識の未知の生理的類推であると恐れ、結合の結果
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