あまり人のいない時で、親しくお話ができるのであった。
「ずっと引っ込みました山里に、以前から愛していた人を置いてございましたのを、人から何かと言われましたが、前生の因縁でこの人が好きになったのだ、だれも心の惹《ひ》かれる相手というものはそうした約束事になっているのだからと、非難を恐れもしませんでしたが、亡《な》くしてしまいまして、これも悲しい名のついた所のせいであろうと、土地に好意が持たれなくなりましてからは久しく出かけることもいたしませんでしたが、ひさびさ先日ほかの用もあってまいりまして、この家《うち》は人生のはかなさをいろいろにして私へ思い知らせ、仏道へ深く私を導こうとされる聖《ひじり》が私のためにことさらこしらえておかれた場所であったと気がついて帰りました」
薫のこの言葉から中宮は僧都《そうず》の話をお思い出しになり、かわいそうに思召《おぼしめ》して、
「そのお家《うち》には目に見えぬこわいものが住んでいるのではありませんか。どんなふうでその方は亡くなりましたか」
とお尋ねになったのを、二人までも恋人の死んだことを知っておいでになって、幽鬼のせいと思召してのお言葉であろうと大
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