》が悪くなったのかと心配してそばへ寄って来た。紅《あか》い単衣の生地の上に、桜色の厚織物を仮に重ねて見せ、
「姫君にはこんなのをお着せしたいのに、情けない墨染めの姿におなりになって」
と言う女房があった。
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あま衣変はれる身にやありし世のかたみの袖《そで》をかけて忍ばん
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と浮舟の姫君は書き、行くえの知れぬことになって人々を悲しませた自分の噂はいつか伝わって来ることであろうから、真実のことを尼君のさとる日になって、憎いほどにも隠し続けたと自分を思うかもしれぬと知った心から、
「昔のことは皆忘れていましたけれども、こうしたお仕立て物などをなさいますのを見ますとなんだか悲しい気になるのですよ」
とおおように尼君へ言った。
「どんなになっておいでになっても、昔のことはいろいろ恋しくお思い出しになるに違いないのに、今になってもそうした話を聞かせてくださらないのが恨めしくてなりませんよ。この家《うち》ではこんな普通の衣服の色の取り合わせをしたりすることが長くなかったのですから、品のないものにしかでき上がらないでね、死んだ人が生きておればと、
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