た。
「兄弟だと思っておいでなさいよ。人生のはかなさなどを話し合ってみれば慰みになるでしょう」
「見識のある方のお話などを伺っても、私にはよく理解できないのが残念でございます」
とだけ言っても、世を厭《いと》うように人を厭うたという言葉について浮舟《うきふね》は何も答えなかった。思いのほかな過失をしてしまった過去を思うと自分ながらうとましい身である、何ともものを感じることのない朽ち木のようになって人から無視されて一生を終えようと、姫君はこの精神を通そうとしていた。そうした気持ちから、今までは憂鬱《ゆううつ》から自己を解放することのできなかった人であるが、近ごろは少し晴れ晴れしくなって、尼君と遊び事をしたり、碁を打ったりして暮らすこともある。仏勤めもよくして法華経《ほけきょう》はもとより他の経なども多く読んだ。
雪が深く降り積んで、出入りする人影も皆無になったころは寂しさのきわまりなさを姫君は覚えた。
年が明けた。しかし小野の山蔭《やまかげ》には春のきざしらしいものは何も見ることができない。すっかり凍った流れから音の響きがないのさえ心細くて、「君にぞ惑ふ道に惑はず」とお言いになった
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