が集まった。病後がまだ不安であるという中宮《ちゅうぐう》の思召《おぼしめ》しがあって、修法をお延ばさせになったので、予定どおりに退出することができずに僧都はまだ御所に侍していた。
 雨などの降ってしめやかな夜に僧都は夜居の役を承った。御病中の奉仕に疲れの出た人などは皆|部屋《へや》へ下がって休息などしていて、お居間の中に侍した女房の数の少ないおり、中宮は姫宮と同じ帳台においでになって、僧都へ、
「昔からずっとあなたに信頼を続けていましたが、その中でも今度見せてくださいましたお祈りの力によって、あなたさえいてくだされば後世《ごせ》の道も明るいに違いないと頼もしさがふえました」
 こんなお言葉を賜わった。
「もう私の生命《いのち》も久しく続くものでございませんことを仏様から教えられておりますうちにも、今年と来年が危険であるということが示されておりましたから、専念に御仏を念じようと存じまして、山へ引きこもっておりましたのでございますが、あなた様からのおそれおおい仰せ言で出てまいりました」
 などと僧都は申し上げていた。お憑《つ》きした物怪《もののけ》が執念深いものであったこと、いろいろとちが
前へ 次へ
全93ページ中68ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
紫式部 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング