きになった。優しい人であったため、殿上役人なども御所の内が寂しくなったように言って惜しんだ。直接の関係のなかった女官たちなども藤壺《ふじつぼ》の女御を皆しのんだ。女二の宮はまして若い少女心《おとめごころ》にお心細くも悲しくも思い沈んでおいでになろうことを、哀れに気がかりに思召す帝は、四十九日が過ぎるとまもなくそっと御所へお呼び寄せになった。その藤壺へおいでになって帝は女二の宮を慰めておいでになるのであった。黒い喪服姿になっておいでになる宮は、いっそう可憐《かれん》に見え、品よさがすぐれておいでになった。性質も聡明《そうめい》で、母の女御よりも静かで深みのあることは少しまさっているのをお知りになって、御安心はあそばされるのであったが、実際問題としてはこの方に確かな後援者と見るべき伯父《おじ》はなく、わずかに女御と腹違いの兄弟が大蔵卿《おおくらきょう》、修理|大夫《だゆう》などでいるだけであったから、格別世間から重んぜられてもいず地位の高くもない人を背景にしていることは女の身にとって不利な場合が多いであろうことが哀れであると、帝はただ一人の親となってこの宮のことに全責任のある気のあそばすの
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