この人は、あくまで艶《えん》できれいであった。女房たちがのぞきながら、
「姫君のお亡《かく》れになった悲しみは別として、この殿様がこちらにずっとおいでくださいますことに私たちはもう馴《な》らされていて、忌が済んでお帰りになることを思うと、お別れが惜しくて悲しいではありませんか。なんという宿命でしょう。こんなに真心の深い方をお二方とも御冷淡になすって、御縁をお結びにならなかったとはね」
 とも言って泣き合っていた。
「こちらの姫君をあの方のお形見とみなして、今後はいろいろ昔の話を申し上げ、また承りもしたいと思うのです。他人のように思召さないでください」
 と薫は中の君へ言わせたが、すべての点で自分は薄命な女であると思う心から恥じられて、中の君はまだ話し合おうとはしなかった。この女王のほうはあざやかな美人で、娘らしいところと、気高《けだか》いところは多分に持っていたが、なつかしい柔らかな嫋々《じょうじょう》たる美というものは故人に劣っていると事に触れて薫は思った。
 雪の暗く降り暮らした日、終日物思いをしていた薫は、世人が愛しにくいものに言う十二月の月の冴《さ》えてかかった空を、御簾《みす
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