分を信仰へ導こうとする仏の方便であるならば、恐怖もされるような、悲しみも忘れられるほど変相を見せられたいと仏を念じているのであるが、悲しみはますます深まるばかりであったから、せめて早く煙にすることをしようと思い、葬送の儀式のことなどを命じてさせるのもまた苦しいことであった。空を歩くような気持ちを覚えて薫は葬場へ行ったのであるが、火葬の煙さえも多くは立たなかったのにはかなさをさらに感じて山荘へ帰った。
 忌籠《きごも》りする僧の数も多くて、心細さは少し慰むはずであったが、中の君はだれにもだれにも先立たれた不幸な女として人から見られるのすら恥ずかしいと思い沈んでいて、この人も生きた姫君とは思われないほどであった。兵部卿《ひょうぶきょう》の宮からも御慰問の品々が贈られたのであるが、恨めしいと思い込んだ姉君の気持ちを、ついに緩和させずじまいになされた方だと思うと、中の君はお受けしてうれしいとは思わなかった。
 中納言は人生の悲しみを切実に味わった今度のことを機会に、出家したいと思う心はあるのであるが、三条の母宮の思召しもはばかられ、それとこの中の君の境遇の心細さは見捨てられないものに思われて煩
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