源氏物語
夕霧二
紫式部
與謝野晶子訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)小野《おの》の
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)着|馴《な》らした
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から3字上げ]
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[#地から3字上げ]帰りこし都の家に音無しの滝はおちね
[#地から3字上げ]ど涙流るる (晶子)
恋しさのおさえられない大将はまたも小野《おの》の山荘に宮をお訪《たず》ねしようとした。四十九日の忌《いみ》も過ごしてから静かに事の運ぶようにするのがいいのであるとも知っているのであるが、それまでにまだあまりに時日があり過ぎる、もう噂《うわさ》を恐れる必要もない、この際はどの男性でも取る方法で進みさえすれば成り立ってしまう結合であろうとこんな気になっているのであるから、夫人の嫉妬《しっと》も眼中に置かなかった。宮のお心はまだ自分へ傾くことはなくても、「一夜ばかりの」といって長い契りを望んだ御息所《みやすどころ》の手紙が自分の所にある以上は、もうこの運命からお脱しになることはできないはずであると恃
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