床との隔てに几帳《きちょう》だけを置いて看護をしているのである。
「ごもっともです。私ごとき者と結婚をしてくださいました宮様のためには、せめて私が長生きをして相当な地位を得るように努力せねばならぬと心がけてはいたのですが、こんな病人になってしまいましては、私の愛がどれほどのものであったかを宮様にわかっていただけないで終わるかと思いますことで、もう命の助からぬような気のしますうちでも、死なれぬ気がするのです」
などと泣き合っていて、迎えようとするのに、すぐに移っても来ないのを母の夫人は気づかわしがって、
「そんな場合に、どうして親の所へ来ようとあなたは思ってくれないのだろう。私が病気をする時には、おおぜいの子供の中でも特にあなたがそばにいてほしく、またいてくれれば頼もしくてうれしいのだのに、いつまでもなぜそちらにあなたはいる」
こんなことを使いに言わせて来るのにももっともなところがあって、衛門督《えもんのかみ》は母へ同情をせずにはおられないのであった。
「私がいちばん初めに生まれたためなのでしょうが、大事にされていまして、こんなになってもまだ母はかわいがりまして、しばらくの間でも逢《
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