のちにお上がりになった入道の宮様にその当時はけおとされておしまいになった例もあるのだからね。その宮の母君の女御は入道の宮のお妹さんだった。御容貌なども入道の宮に続いてお美しいという評判のあった方だから、御両親のどちらに似てもこの宮は平凡な美人ではおありになるまい」
 などと言っておいでになった。好奇心は持っておいでになるらしいのである。
 歳暮に近くなった。朱雀院では院の御病気がそのまま続いてお悪いために、姫宮の裳着《もぎ》の式をお急ぎになり、準備をいろいろとさせておいでになったが、過去にも未来にもないような華美なお儀式になる模様で、だれもだれも騒ぎ立っていた。式場は院の栢殿《かえどの》の西向きのお座敷で御帳《おんとばり》、几帳《きちょう》その他に用いられた物も日本の織物はいっさいお使いにならず唐の后《きさき》の居室の飾りを模《うつ》して、派手《はで》で、りっぱで、輝くようにでき上がっていた。御腰|結《ゆ》いの役を太政大臣へ前から依頼しておありになったが、もったいぶったこの人は気は進まないままで、院のお言葉には昔からそむくことのなかったほど好意をお示しする用意は常に持って、御辞退ができ
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