た。

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つれなさは浮き世の常になり行くを忘れぬ人や人にことなる
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 とも書いてある。父がした話のことなどは少しも書いてないことを雲井の雁は恨めしく思ったが返事を書いた。

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限りとて忘れがたきを忘るるもこや世に靡《なび》く心なるらん
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 この歌の意味が腑《ふ》に落ちないで宰相中将はいつまでも首を傾けていたということである。



底本:「全訳源氏物語 中巻」角川文庫、角川書店
   1971(昭和46)年11月30日改版初版発行
   1994(平成6)年6月15日39版発行
※このファイルは、古典総合研究所(http://www.genji.co.jp/)で入力されたものを、青空文庫形式にあらためて作成しました。
※校正には、2002(平成14)年1月15日44版を使用しました。
入力:上田英代
校正:鈴木厚司
2003年9月3日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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