源氏物語
野分
紫式部
與謝野晶子訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)在《い》まし
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)御|機嫌《きげん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)紫※[#「くさかんむり/宛」、第3水準1−90−92]《しおん》色
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[#地から3字上げ]けざやかにめでたき人ぞ在《い》ましたる野
[#地から3字上げ]分が開《あ》くる絵巻のおくに (晶子)
中宮《ちゅうぐう》のお住居《すまい》の庭へ植えられた秋草は、今年はことさら種類が多くて、その中へ風流な黒木、赤木のませ垣《がき》が所々に結《ゆ》われ、朝露夕露の置き渡すころの優美な野の景色《けしき》を見ては、春の山も忘れるほどにおもしろかった。春秋の優劣を論じる人は昔から秋をよいとするほうの数が多いのであったが、六条院の春の庭のながめに説を変えた人々はまたこのごろでは秋の讃美《さんび》者になっていた、世の中というもののように。
中宮はこれにお心が惹《ひ》かれてず
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