て感じよく思われた。内大臣も宮を御訪問に来て、灯《ひ》などをともしてゆっくりと宮は話しておいでになった。
「姫君に長く逢《あ》いませんね。ほんとうにどうしたことだろう」
 とお言い出しになって、宮はお泣きになった。
「近いうちにお伺わせいたします。自身から物思いをする人になって、哀れに衰えております。女の子というものは実際持たなくていいものですね。何につけかにつけ親の苦労の絶えないものです」
 内大臣はまだあの古い過失について許し切っていないように言うのを、宮は悲しくお思いになって、望んでおいでになることは口へお出しになれなかった。話の続きに大臣は、
「ものにならない娘が一人出て来まして困っております」
 と母宮に訴えた。
「どうしてでしょう。娘という名がある以上おとなしくないわけはないものですが」
「それがそういかないのです。醜態でございます。お笑いぐさにお目にかけたいほどです」
 と大臣は言っていた。



底本:「全訳源氏物語 中巻」角川文庫、角川書店
   1971(昭和46)年11月30日改版初版発行
   1994(平成6)年6月15日39版発行
※このファイルは、古典総合
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