ったことを佐《すけ》は謝した。少年の時から非常に源氏に愛されていて、源氏の推薦で官につくこともできた恩もあるのであるが、源氏の免職されたころ、当路者ににらまれることを恐れて常陸へ行ってしまったことで、少しおもしろくなく源氏は思っていたが、だれにもそのことは言わなかった。昔ほどではないがその後も右衛門佐《うえもんのすけ》は家に属した男として源氏の庇護《ひご》を受けることになっていた。紀伊守《きいのかみ》といった男も今はわずかな河内守《かわちのかみ》であった。その弟の右近衛丞《うこんえのじょう》で解職されて、須磨へ源氏について行った男が特別に取り立てられていくのを見て、右衛門佐も河内守も過去の非を悔いた。なぜ一時の損得などを大事に考えたのであろうと自身を責めていた。
 佐《すけ》を呼び出して、源氏は姉君へ手紙をことづてたいと言った。他の人ならもう忘れていそうな恋を、なおも思い捨てない源氏に右衛門佐は驚いていた。
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あの日私は、あなたとの縁はよくよく前生で堅く結ばれて来たものであろうと感じましたが、あなたはどうお思いになりましたか。

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わくらはに
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