野道
幸田露伴
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)流鶯《りゅうおう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)二三|株《しゅ》は
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「單+展」、第4水準2−4−51]
[#(…)]:訓点送り仮名
(例)一[#(ト)]口
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流鶯《りゅうおう》啼破《ていは》す一簾《いちれん》の春。書斎に籠《こも》っていても春は分明《ぶんみょう》に人の心の扉《とびら》を排《ひら》いて入込《はいりこ》むほどになった。
郵便脚夫《ゆうびんきゃくふ》にも燕《つばめ》や蝶《ちょう》に春の来ると同じく春は来たのであろう。郵便という声も陽気に軽やかに、幾個《いくつ》かの郵便物を投込んで、そしてひらりと燕がえしに身を翻《ひるが》えして去った。
無事平和の春の日に友人の音信《おとずれ》を受取るということは、感じのよい事の一《いつ》である。たとえば、その書簡《てがみ》の封《ふう》を開くと、その中からは意外な悲しいことや煩《わ
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