》が当っているほうだ。
「ハハハ、からかいなさんなと云ってもらいてえ、どうも言語《ものいい》の叮嚀《ていねい》な中《うち》がいい。
「ガリスの果《はて》と知れるかノ。
「オヤ、気障《きざ》な言語《ふちょう》を知ってるな、大笑いだ。しかし、知れるかノというノの字で打壊《ぶちこわ》しだあナ、チョタのガリスのおん果《はて》とは誰が眼にも見えなくってどうするものか。
「チョタとは何だ、田舎漢《いなかもの》のことかネ。
「ムム。
「忌々《いまいま》しい、そう思わるるが厭《いや》だによって、大分気をつけているが地金《じがね》はとかく出たがるものだナ。
「ハハハ、厭だによってか、ソレそれがもういけねえ、ハハハ詰らねえ色気《いろけ》を出したもんだ。
「イヤ居《お》れば居るだけ笑われる、明日《あす》来てみよう、行かれたら一緒に行きなさい。
と立帰り行くを見送って、
「おえねえ頓痴奇《とんちき》だ、坊主《ぼうず》ッ返《けえ》りの田舎漢《いなかもの》の癖に相場《そうば》も天賽《てんさい》も気が強《つえ》え、あれでもやっぱり取られるつもりじゃあねえ中《うち》が可笑《おかし》い。ハハハ、いい業《ごう》ざらしだ。
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