取れりゃあ気息《いき》がつけらあ。エエ酒が無《ね》えか、さあ今度アこれを売って来い。構うもんかイ、構うもんかイ、当らあ当らあきっと当らあ。
とヒラリと素裸《すはだか》になって、寝衣《ねまき》に着かえてしまって、

  やぼならこうした うきめはせまじ、

と無間《むげん》の鐘《かね》のめりやすを、どこで聞きかじってか中音に唸《うな》り出す。
[#地から1字上げ](明治三十年十月)


底本:「ちくま日本文学全集 幸田露伴」筑摩書房
   1992(平成4)年3月20日第1刷発行
底本の親本:「現代日本文学全集4」筑摩書房
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。(青空文庫)
※底本の次の個所(頁−行)の「小書き片仮名ト」(JIS X 0213、1−6−81)は「ト」に置き換えました。コウト(27−5) 一ト眼(31−9)
※閉じ括弧は無しはすべて、底本通り。
入力:林 幸雄
校正:門田裕志
2002年12月5日作成

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