望《のぞみ》は足る者を余計な世話、我からでも言わせたるように聞取《ききと》られて疎《うと》まれなば取り返しのならぬ暁《あかつき》、辰は何になって何に終るべきと悲《かなし》み、珠運様も珠運様、余りにすげなき御言葉、小児《こども》の捉《とっ》た小雀《こすずめ》を放して遣《や》った位に辰を思わるゝか知らねどと泣きしが、貴下《あなた》はそれより黙言《だんまり》で亀屋を御立《おたち》なされしに、十日も苅《か》り溜《ため》し草を一日に焼《やい》たような心地して、尼にでもなるより外なき身の行末を歎《なげき》しに、馬籠《まごめ》に御病気と聞く途端、アッと驚く傍《かたわら》に愚《おろか》な心からは看病するを嬉《うれし》く、御介抱|申《もうし》たる甲斐《かい》ありて今日の御|床上《とこあげ》、芽出度《めでたい》は芽出度《めでたけ》れど又もや此儘《このまま》御立《おたち》かと先刻《さっき》も台所で思い屈して居たるに、吉兵衛様御内儀が、珠運様との縁|続《つ》ぎ度《たく》ば其人様の髪一筋知れぬように抜《ぬい》て、おまえの髪と確《しっか》り結び合《あわ》せ※[#「口+急」、224−9]※[#「口+急」、224−9
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