以て名づく。地は三ッ堀に属し、鬼怒川の利根川に入り、両水衝撃滾混して流るゝの処たり。水品の美、真に赤松氏利根川図志の記するところの如し。予かつて数《しば/\》これを試みしに、山本氏の「清風」は茶の至美なる者にあらずと雖、神味|頓《とみ》に加はりて、霊気心胸に沁むものあるを覚ゆ。而して今鬼怒川の河口、河身改修によりて下つて一里余に在り、知らず我慢の水の味の旧に依るや否やを。



底本:「日本の名随筆33・水」作品社
   1985(昭和60)年7月25日初版発行
   1987(昭和62)年8月10日3刷
底本の親本:「露伴全集 第三一巻」岩波書店
   1956(昭和31)年8月初版発行
入力:とみ〜ばあ
校正:門田 裕志
2001年9月12日公開
青空文庫作成ファイル:
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