、夢中になって当面の敵の正賓にウンと頭撞《ずつ》きを食わせた。正賓は肋《あばら》を傷《きずつ》けられて卒倒し、一場《いちじょう》は無茶苦茶になった。
元来正賓は近年逆境におり、かつまた不如意《ふにょい》で、惜しい雲林さえ放そうとしていた位のところへ、廷珸の侮《あなど》りに遭い、物は取上げられ、肋は傷けられたので、鬱悶《うつもん》苦痛一時に逼《せま》り、越夕《えっせき》して終《つい》に死んでしまった。廷珸も人命|沙汰《ざた》になったので土地にはいられないから、出発して跡を杭州《こうしゅう》にくらました。周丹泉の造った模品はこれで土に返った訳である。
談《はなし》はもうこれで沢山であるのに、まだ続くから罪が深い。廷珸が前に定窯の鼎類数種を蒐《あつ》めた中に、なお唐氏旧蔵の定鼎と号して大名物を以て人を欺《あざむ》くべきものがあった。廷珸は杭州に逃げたところ、当時|※[#「さんずい+路」、第3水準1−87−11]王《ろおう》が杭州に寓《ぐう》しておられた。廷珸は※[#「さんずい+路」、第3水準1−87−11]王の承奉兪啓雲《しょうほうゆけいうん》という者に遇って、贋鼎を出して示して、これが
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