変なものであったろう。しかしこの委曲を世間が知ろうはずはない、九如の家には千金に易《か》えた宝鼎が伝わったのである。九如は老死して、その子がこれを伝えて有《も》っていた。
王廷珸《おうていご》字《あざな》は越石《えつせき》という者があった。これは片鐙《かたあぶみ》を金八に売りつけたような性質の良くない骨董屋であった。この男が杜九如の家に大した定鼎のあることを知っていた。九如の子は放蕩ものであったので、花柳《かりゅう》の巷《ちまた》に大金を捨てて、家も段※[#二の字点、1−2−22]に悪くなった。そこへ付込《つけこ》んで廷珸は杜生《とせい》に八百金を提供して、そして「御返金にならない場合でも御宅の窯鼎《ようてい》さえ御渡し下されば」ということをいって置いた。杜生はお坊さんで、廷珸の謀《はか》った通りになり、鼎は廷珸の手に落ちてしまった。廷珸は大喜びで、天下一品、価値|万金《ばんきん》なんどと大法螺《おおぼら》を吹立《ふきた》て、かねて好事《こうず》で鳴っている徐六岳《じょりくがく》という大紳《たいしん》に売付けにかかった。徐六岳を最初から廷珸は好い鳥だと狙っていたのであろう。ところが徐
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