たくなるものである。杜九如の方ではテッキリそれだと思ったから、贋物だったなぞというのは口実だと考えて、約束|変改《へんがい》をしたいのが本心だと見た。そこで、「どういたしまして。あの様な贋物があるものではございますまい。仮令《たとい》贋物にしましたところで、手前の方では結構でございます、頂戴致して置きまして後悔はございません」とやり返した。「そんなにこちらの言葉を御信用がないならば、二つの鼎を列《なら》べて御覧になったらば如何《いかが》です」と一方はいったが、それでも一方は信疑|相半《あいなかば》して、「当方はどうしても頂戴して置きます」と意地張《いじば》った。そこで唐君兪は遂に真鼎を出して、贋鼎に比べて視せた。双方とも立派なものではあるが、比べて視ると、神彩霊威《しんさいれいい》、もとより真物は世間に二ツとあるべきでないところを見《あら》わした。しかし杜九如も前言の手前、如何《どう》ともしようとはいわなかった。つまり模品《もひん》だということを承知しただけに止《とど》まって、返しはしなかった。九如のその時の心の中《うち》は傍《はた》からはなかなか面白く感ぜられるが、当人に取っては随分
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