報《しかへし》仕様を見せて呉れむ、清吉ごとき卑劣《けち》な野郎の為た事に何似るべき歟、釿《てうな》で片耳殺ぎ取る如き下らぬ事を我が為うや、我が腹立は木片の火のぱつと燃え立ち直消ゆる、堪へも意地も無きやうなる事では済まさじ承知せじ、今日の変事は今日の変事、我が癇癪は我が癇癪、全で別なり関係《かゝりあひ》なし、源太が為やうは知るとき知れ悟らする時悟らせ呉れむと、裏《うち》にいよ/\不平は懐けど露塵ほども外には出さず、義理の挨拶見事に済まして直其足を感応寺に向け、上人の御目通り願ひ、一応自己が隷属《みうち》の者の不埓を御謝罪《おわび》し、我家に帰りて、卒《いざ》これよりは鋭次に会ひ、其時清を押へ呉たる礼をも演べつ其時の景状《やうす》をも聞きつ、又一ツには散※[#二の字点、1−2−22]清を罵り叱つて以後《こののち》我家に出入り無用と云ひつけ呉れむと立出掛け、お吉の居ぬを不審して何所へと問へば、何方へか一寸《ちよと》行て来るとてお出になりました、と何食はぬ顔で婢《をんな》の答へ、口禁《くちどめ》されてなりとは知らねば、応左様歟、よし/\、我は火の玉の兄《あにき》がところへ遊びに行たとお吉帰らば
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