、当れりや否や、知らず。くしびなる雲とは如何なる雲ぞや、問はまほし。八雲立ちといひたまはで、八雲立つと言い切り玉へるも彼の奇しき瑞雲に驚かせ給へる語勢なりなどいへる、ことに奇しき言なり。崇神紀の歌に、八雲立つ出雲梟師が云々と歌へるも、八雲たちとは云はで八雲立つといひたるなれば、驚きたる語勢なりといふべきか、いと奇しき言なり。



底本:「露伴全集 第29巻」岩波書店
   1954(昭和29)年12月4日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記を次の通りあらためました。
1.常用漢字表、人名漢字別表に掲げられている漢字を新字にあらためました。
  ただし、人名については底本のままとしました。
※「山々」「勃々」「蝶々」などの「々」は、底本では二の字点(第3水準1−2−22)を使用
入力:地田尚
校正:今井忠夫
2001年6月18日公開
青空文庫作成ファイル:
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