たり、といへる、煙にあらず雲にあらず紫を曳き光を流す、といへる、大人作矣、五色|氤※[#「※」は「气+慍のつくり」、読みは「うん」、第3水準1−86−48、232−9]《いんうん》、といへる、金柯初めて繞繚、玉葉漸く氤※[#「※」は「气+慍のつくり」、読みは「うん」、第3水準1−86−48、232−10]、といへる、還つて九霄に入りて※[#「※」は「さんずい+亢」、第3水準1−86−55、読みは「こう」、232−10]※[#「※」は「さんずい+餐の食を韭に変えたつくり」、第4水準2−79−44、読みは「がい」、232−10]《かうがい》を成し、夕嵐生ずる処鶴松に帰る、といへる詩の句などによりて見れば、帰するところは美しき雲といふまでなり。一年の中に幾度か爛たる雲の見えざらん。若しまた余りに美しき眼なれぬ雲などの出でたらんは、気中のさまの常ならぬよりなるべければ、却つて悦ぶべからざるに似たり。五色の雲など何にせん、天は青きがめでたく、雲は白きこそ優しけれ。八雲立つの神の御歌を解きて、その時立ちし雲は天地のみたまの顕《あら》はせりし吉瑞にて、いともくしびなる雲なりけむなど橘の守部が云へるは
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