雲のいろ/\
幸田露伴
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)天《そら》暗く
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)点々|相連《あひつらな》りて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「※」は「菌のくさかんむりを除いた形」、第4水準2−4−56、231−4]《きん》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)雲のいろ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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夜の雲
夏より秋にかけての夜、美しさいふばかり無き雲を見ることあり。都会の人多くは心づかぬなるべし。舟に乗りて灘を行く折、天《そら》暗く水黒くして月星の光り洩れず、舷を打つ浪のみ青白く騒立《さわだ》ちて心細く覚ゆる沖中に、夜は丑三つともおもはるゝ頃、艙上に独り立つて海風の面を吹くがまゝ衣袂《いべい》湿りて重きをも問はず、寝られぬ旅の情を遣らんと詩など吟ずる時、いなづま忽として起りて、水天一斉に凄じき色に明るくなり、千畳万畳の濤
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