も案に上るの日あり、禽《とり》は高空に翔《か》くれども天に宿《しゅく》するに由《よし》無し。忽然《こつぜん》として復《また》宮《きゅう》に入るに及びたもう。其《その》事《こと》まことに意表に出《い》づ。帝の同寓《どうぐう》するところの僧、帝の詩を見て、遂《つい》に建文帝なることを猜知《すいち》し、其《その》詩を窃《ぬす》み、思恩《しおん》の知州《ちしゅう》岑瑛《しんえい》のところに至り、吾《われ》は建文皇帝なりという。意《こころ》蓋《けだ》し今の朝廷また建文を窘《くるし》めずして厚く之《これ》を奉ず可きをおもえるなり。瑛《えい》はこれを聞きて大《おおい》に驚き、尽《ことごと》く同寓《どうぐう》の僧を得て之を京師《けいし》に送り、飛章《ひしょう》して以聞《いぶん》す。帝及び程済《ていせい》も京《けい》に至るの数《すう》に在り。御史《ぎょし》僧を糾《ただ》すに及びて、僧曰く、年九十余、今たゞ祖父の陵《りょう》の旁《かたわら》に葬られんことを思うのみと。御史、建文帝は洪武《こうぶ》十年に生れたまいて、正統《せいとう》五年を距《へだた》る六十四歳なるを以て、何ぞ九十歳なるを得んとて之を疑い、よ
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