徳|漸《ようや》く高くして、太祖の第十一子|蜀王《しょくおう》椿《ちん》、孝孺を聘《へい》して世子の傅《ふ》となし、尊ぶに殊礼《しゅれい》を以《もっ》てす。王の孝孺に賜《たま》うの書に、余一日見ざれば三秋の如き有りの語あり。又王が孝孺を送るの詩に、士を閲《けみ》す孔《はなは》だ多し、我は希直を敬すの句あり。又其一章に

[#ここから2字下げ]
謙《けん》にして以て みづから牧《ぼく》し、
卑《ひく》うして以て みづから持《じ》す。
雍容《ようよう》 儒雅《じゅが》、
鸞鳳《らんぽう》の 儀あり。
[#ここで字下げ終わり]

とあり。又其の賜詩《しし》三首の一に

[#ここから2字下げ]
文章 金石を奏し、
衿佩《きんぱい》 儀刑《ぎけい》を覩《み》る。
応《まさ》に世々《よよ》 三|輔《ぽ》に遊ぶべし、
焉《いずく》んぞ能《よ》く 一|経《けい》に困《こん》せん。
[#ここで字下げ終わり]

の句あり。王の優遇知る可くして、孝孺の恩に答うるに道を以てせるも、亦《また》知るべし。王孝孺の読書の廬《ろ》に題して正学《せいがく》という。孝孺はみずから遜志斎《そんしさい》という。人の正学先生と
前へ 次へ
全232ページ中185ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
幸田 露伴 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング