為《つく》らず、たゞ隊伍《たいご》を分布し、陣を列して門と為《な》す。故に将士は営に至れば、即《すなわ》ち休息するを得、暇《いとま》あれば王|射猟《しゃりょう》して地勢を周覧し、禽《きん》を得《う》れば将士に頒《わか》ち、塁を抜くごとに悉《ことごと》く獲《う》るところの財物を賚《たま》う。南軍と北軍と、軍情おのずから異なること是《かく》の如し。一は人|役《えき》に就《つ》くを苦《くるし》み、一は人|用《よう》を為《な》すを楽《たのし》む。彼此《ひし》の差、勝敗に影響せずんばあらず。
 かくて対塁《たいるい》日を累《かさ》ぬる中《うち》、南軍に糧餉《りょうしょう》大《おおい》に至るの報あり。燕王|悦《よろこ》んで曰《いわ》く、敵必ず兵を分ちて之を護《まも》らん、其の兵分れて勢弱きに乗じなば、如何《いか》で能《よ》く支えんや、と朱栄《しゅえい》、劉江《りゅうこう》等《ら》を遣《や》りて、軽騎を率いて、餉道《しょうどう》を截《き》らしめ、又|游騎《ゆうき》をして樵採《しょうさい》を妨げ擾《みだ》さしむ。何福《かふく》乃《すなわ》ち営を霊壁《れいへき》に移す。南軍の糧五方、平安《へいあん》馬歩
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