勢を為《な》して漸《ようや》く燕を蹙《しじ》めんとす。燕王、徳州の城の、修築|已《すで》に完《まった》く、防備も亦厳にして破り難く、滄州の城の潰《つい》え※[#「土へん+己」、UCS−572E、317−6]《くず》るゝ[#「※[#「土へん+己」、UCS−572E、317−6]《くず》るゝ」は底本では「※[#「土へん+已」、317−6]《くず》るゝ」]こと久しくして破り易《やす》きを思い、之《これ》を下して庸の勢を殺《そ》がんと欲す。乃《すなわ》ち陽《よう》に遼東《りょうとう》を征するを令して、徐凱をして備えざらしめ、天津《てんしん》より直沽《ちょくこ》に至り、俄《にわか》に河《か》に沿いて南下するを令す。軍士|猶《なお》知らず、其《そ》の東を征せんとして而して南するを疑う。王厳命して疾行すること三百里、途《みち》に偵騎《ていき》に遇《あ》えば、尽《ことごと》く之《これ》を殺し、一昼夜にして暁《あかつき》に比《およ》びて滄州に至る。凱の燕師の到《いた》れるを覚《さと》りし時には、北卒四面より急攻す。滄州の衆皆驚きて防ぐ能《あた》わず。張玉の肉薄して登るに及び、城|遂《つい》に抜かれ、凱と
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