から水を出して見玉え、その水はきっとねじれて出るよ。これも螺線サ。矢は螺線になッて飛ぶから真直に行くのだよ。鉄砲の玉も螺旋《らせん》して飛ぶのサ。筒の中に螺線条をこの頃施こすのもこの規則に従うのサ。鳶《とび》の尾は螺線を空中に描いて飛ぶのサ。魚の尾も螺線をなすのサ。鶴が高く登るのにも空中を輪になッてぐるぐると翔《かけ》りながら飛ぶのサ。是非ねじれて進むのサ、真直に進むものはないよ。地球も自転しながら進むのだからつまり空間に螺旋しているのだよ。太陽も自転している以上はたしかに螺旋して進んでいるのだよ。月も螺転《らてん》しているのサ。星もその通りサ。螺旋螺転なんというのは好い新熟字だろう。人間のつむじを見ればこれも螺旋法で毛が出るのサ。血は血管の中で螺旋して流れているのだよ。酒樽の口から酒は螺旋して出るよ。腸《はらわた》は即ち螺線をなしてるのサ。川はやや平面的に螺線をなして流れる。山脈は螺線さ。木の枝は一つが東に向ッて生える、その上の枝は南それから西北という工合に螺旋している。花を能く見玉え、必らず螺形に花びらが出ている。朝顔の花の咲かない間は即ち渦をなしている。釘も螺状《らじょう》の釘が
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