蠅を憎む記
泉鏡花

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)為《し》たる

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)黒点|先刻《さっき》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1−91−26]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)フツ/\
−−

        上

 いたづら為《し》たるものは金坊《きんぼう》である。初めは稗蒔《ひえまき》の稗《ひえ》の、月代《さかやき》のやうに素直に細《こまか》く伸びた葉尖《はさき》を、フツ/\と吹いたり、※[#「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1−91−26]《ろう》たけた顔を斜めにして、金魚鉢《きんぎょばち》の金魚の目を、左から、又右の方から視《なが》めたり。
 やがて出窓の管簾《くだすだれ》を半《なか》ば捲《ま》いた下で、腹《はら》ンばひに成つたが、午飯《おひる》の済んだ後《あと》で眠気《ねむけ》がさして、くるりと一《ひと》
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