教育家じゃ。他人でない、扱うてくれたまえ。(神官《かんぬし》に)貴方《あなた》も教えの道は御親類。(村長に)村長さんの声名にもお縋り申す。……(力士に)な、天下の力士は侠客《きょうかく》じゃ、男立《おとこだて》と見受けました。……何分願います、雨乞の犠牲はお許しを頼む。
[#ここから2字下げ]
これがために一同しばらくためらう。……代議士|穴隈《あなぐま》鉱蔵、葉巻をくゆらしながら、悠々と出づ。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
鉱蔵 其奴等《そいつら》騙賊《かたり》じゃ。また、騙賊でのうても、華族が何だ、学者が何だ、糧《かて》をどうする!……命をどうする?……万事俺が引受けた。遣《や》れ、汝等《きさまら》、裸にしようが、骨を抜こうが、女郎《めろう》一人と、八千の民、誰《たれ》か鼎《かなえ》の軽重《けいちょう》を論ぜんやじゃ。雨乞を断行せい。
[#ここから2字下げ]
力士|真先《まっさき》に、一同ばらりと立懸《たちかか》る。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
学円 私《わし》を縛《しば》れ、(と上衣《うわぎ》を
前へ
次へ
全76ページ中67ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング