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塚 十三塚の骨寄鬼《こつよせおに》。
蟹五郎 藪沢《やぶさわ》のお関守は既に先刻より。
椿 そのほか、夥多《あまた》の道陸神《どうろくじん》たち、こだますだま、魑魅《ちみ》、魍魎《もうりょう》。
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影法師、おなじ姿のもの夥多あり。目も鼻もなく、あたまからただ灰色の布を被《かぶ》る。
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影法師 影法師も交りまして。
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とこの名のる時、ちらちらと遠近《おちこち》に陰火燃ゆ。これよりして明滅す。
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鯉七 身内の面々、一同参り合せました。
鯰入 憚《はばか》りながら法師もこれに。……
白雪 おお、遠い路を、大儀。すぐにお返事を上げましょうね、そのために皆を呼びましたよ。
姥 や、彼方《あなた》へお返事につきまして、いずれもを召しました?――仰せつけられまする儀は?
白雪 姥《うば》、どう思うても私は行《ゆ》く。剣ヶ峰へ行かねばならぬ。鐘さえなくば盟約《ちかい》もあるまい……
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