何です、ありゃ。……姉さんにお気の毒で、傍《そば》で聞いていられやしない。」
「だって事実だもの。病院に入切《はいりきり》で居ながら、いつの何時《なんどき》には、姉さんが誰と話をしたッて事、不残《のこらず》旦那様御存じなの、もう思召《おぼしめし》ったらないんですからね。
 それでも大事にして置かないと、院長は家中《うちじゅう》の稼ぎ人で、すっかり経済を引受けてるんだわ。お庇様《かげさま》で一番末の妹の九ツになるのさえ、早や、ちゃんと嫁入支度が出来てるのよ。
 道楽一ツするんじゃなし、ただ、姉さんを楽《たのし》みにして働いているんですからね。ちっとでも怒らしちゃ大変なのだから、貴下も気をつけて下さらなくっちゃ困るわ。」
「何を云ってるんです、面白くもない。」
「今の様子ッたら何です、厭《いや》に御懇《ごねんごろ》ね。そして肩を持つことね。油断もすきもなりはしない。」
「可い加減になさい。串戯《じょうだん》も、」
「だって姉さんが、どんな事があればッたって、男と対向《さしむか》いで五分間と居る人じゃないのよ。貴下は口前が巧くって、調子が可いから、だから坐り込んでいるんじゃありませんか。ほん
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