より》夫婦で一層のこと気にかかる。
昼の内は宰八なり、誰か、時々お伺いはいたしますが、この頃は気怯《きおく》れがして、それさえ不沙汰《ぶさた》がちじゃに因って、私によくお見舞い申してくれ、と云う、くれぐれもその託《ことづけ》でございました。が何か、最初の内、貴方《あなた》が御逗留《ごとうりゅう》というのに元気づいて、血気な村の若い者が、三人五人、夜食の惣菜ものの持寄り、一升徳利なんぞ提げて、お話|対手《あいて》、夜伽《よとぎ》はまだ穏《おだやか》な内、やがて、刃物切物、鉄砲持参、手覚えのあるのは、係羂《かけわな》に鼠の天麩羅《てんぷら》を仕掛けて、ぐびぐび飲みながら、夜更けに植込みを狙うなんという事がありますそうで?――
婆さんが話しました。」
「私は酒はいけず、対手は出来ませんから、皆さんの車座を、よく蚊帳の中から見ては寝ました。一時は随分|賑《にぎやか》でした。
まあ、入《いり》かわり立《たち》かわり、十日ばかり続いて、三人四人ずつ参りましたが、この頃は、ばったり来なくなりましたんです。」
「と申す事でございますな。ええ、時にその入り交《かわ》り立ち交りにつけて、何か怪しい、」
と言いかけて偶《ふ》と見返った、次の室《ま》と隔ての襖《ふすま》は、二枚だけ山のように、行燈《あんどう》の左右に峰を分けて、隣国《となりぐに》までは灯が届かぬ。
心も置かれ、後髪も引かれた状《さま》に、僧は首に気を入れて、ぐっと硬くなって、向直って、
「その怪しいものの方でも、手をかえ、品をかえ、怯《おびや》かす。――何かその……畳がひとりでに持上りますそうでありますが、まったくでございますかな。」
熟《じっ》と視《み》て聞くと、また俯向《うつむ》いて、
「ですから、お話しも極《きま》りが悪い、取留めのない事だと申すんです。」
「ははあ、」
と胸を引いて、僧は寛《くつろ》いだ状《さま》に打笑い、
「あるいはそうであろうかにも思いましたよ。では、ただ村のものが可《い》い加減な百物語。その実、嘘説《うそ》なのでございますので?」
「いいえ、それは事実です。畳は上《あが》りますとも。貴僧《あなた》、今にも動くかも分りません。」
「ええ!や、それは、」
と思わず、膝を辷《すべ》らした手で、はたはたと圧《おさ》えると、爪も立ちそうにない上床《じょうどこ》の固い事。
「これが、動くで
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