い》の上《うへ》で蓋《ふた》するやうに、老爺《ぢい》は眉《まゆ》の下《した》へ手《て》を翳《かざ》して、
『ちよつくら気《き》が着《つ》いた事《こと》がある、待《ま》たつせえ、御坊《ごばう》……』
『…………、』
『少《わか》い人《ひと》も何《ど》う思《おも》ふ。お前様《めえさま》が小児《こども》の時《とき》、姉様《あねさま》にして懐《なつ》かしがらしつたと言《い》ふ木像《もくざう》から縁《えん》を曳《ひ》いて、過日《こないだ》奥様《おくさま》の行方《ゆきがた》が分《わか》らなく成《な》つた時《とき》から廻《まは》り繞《めぐ》つて、釆粒《さいつぶ》が着《つ》き絡《まと》ふ、今《いま》此処《こゝ》に采《さい》がある……此《こ》の山奥《やまおく》に双六《すごろく》の巌《いは》がある。其処《そこ》も魔所《ましよ》ぢやと名《な》が高《たか》い。時々《とき/″\》山《やま》が空《くう》に成《な》つて寂《しん》とすると、ころころと采《さい》を投《な》げる音《おと》が木樵《きこり》の耳《みゝ》に響《ひゞ》くとやら風説《ふうせつ》するで。天守《てんしゆ》にも主人《あるじ》があれば双六巌《すごろくいは》
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