人《ひと》の妻《つま》を掴《つか》み取《と》つてものを云《い》ふ、悪魔《あくま》の所業《しわざ》ぢや、無理《むり》も無躰《むたい》も法外《ほふぐわい》の沙汰《さた》と思《おも》へ。
此所《こゝ》を聞《き》けよ、二人《ふたり》の人《ひと》。……御身達《おみたち》が、言《い》ふ通《とほ》り、今《いま》新《あたら》しく遣直《やりなほ》せば、幾干《いくら》か勝《すぐ》れたものは出来《でき》やう、がな、其《それ》は唯《たゞ》前《まへ》のに較《くら》べて些《ち》と優《まさ》ると言《い》ふばかりぢや。
其《それ》も可《よ》からう、何《なに》も持《も》たぬ、空《むな》しい乏《とぼ》しいものに取《と》つたら、御身達《おみたち》が作《つく》り更《あらた》めると云《い》ふ其《そ》の木像《もくざう》でも、無《な》いよりは増《ま》しぢや、品《しな》に因《よ》つて、美《うつく》しいとも、珍《めづ》らしいとも思《おも》はうも知《し》れぬ。
けれどもな、天守《てんしゆ》の主人《あるじ》は、最《も》う手《て》の内《うち》に、活《い》きた、生命《いのち》ある、ものを言《い》ふ、血《ち》の通《かよ》ふ、艶麗《あでやか
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