、五体《ごたい》が満足《まんぞく》な彫刻物《ほりもの》であつたらば、真昼間《まつぴるま》、お前様《めえさま》と私《わし》とが、面《つら》突合《つきあ》はせた真中《まんなか》に置《お》いては動出《うごきだ》しもすめえけんども、月《つき》の黄色《きいろ》い小雨《こさめ》の夜中《よなか》、――主《ぬし》が今《いま》話《はな》さしつた、案山子《かゝし》が歩行《ある》く中《なか》へ入《い》れたら、ひとりで褄《つま》を取《と》つて、しやなら、しやならと行《や》るべい。何《なに》も、破《やぶ》れ傘《がさ》の化《ば》け車《ぐるま》に骨《ほね》を折《を》らせて運《はこ》ばせずと済《す》む事《こと》よ。平時《いつも》なら兎《と》も角《かく》ぢや、お剰《まけ》に案山子《かゝし》どもが声《こゑ》を出《だ》いて、お迎《むか》ひ、と言《い》ふ世界《せかい》なら、第一《だいゝち》お前様《めえさま》が其《そ》の像《ざう》を担《かつ》いで出《で》る法《ほふ》はあるめえ。何《なん》ではい、歩行《ある》け、さあ、木像《もくざう》、と言《い》ふ腹《はら》に成《な》らしやらぬ。……
其《それ》では魔物《まもの》が不承知《ふし
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