》に当ったのです。が、同じ月、同じ夜《よ》のその命日は、月が晴れても、附近の町は、宵から戸を閉じるそうです、真白《まっしろ》な十七人が縦横に町を通るからだと言います――後でこれを聞きました。
 私は眠るように、学校の廊下に倒れていました。
 翌早朝、小使部屋の炉《いろり》の焚火に救われて蘇生《よみがえ》ったのであります。が、いずれにも、しかも、中にも恐縮をしましたのは、汽車の厄に逢った一|人《にん》として、駅員、殊に駅長さんの御立会《おたちあい》になった事でありました。
[#地から1字上げ]大正十(一九二一)年四月



底本:「泉鏡花集成7」ちくま文庫、筑摩書房
   1995(平成7)年12月4日第1刷発行
底本の親本:「鏡花全集 第二十一卷」岩波書店
   1941(昭和16)年9月30日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:門田裕志
校正:土屋隆
2005年11月1日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入
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