そうでしょう。)
に極《き》めてかかって、
(御心配はありません。あれは、麓《ふもと》の山伏が……)
ッて、ここで貴下の話をしました。
ついては、ちっと繕って、まあ、穏かに、里で言う峠の風説《うわさ》――面と向っているんですから、そう明白《あからさま》にも言えませんでしたが、でも峠を越すものの煩うぐらいの事は言った。で、承った通り、現にこの間も、これこれと、向う顱巻《はちまき》の豪傑が引転《ひっくり》かえったなぞは、対手《あいて》の急所だ、と思って、饒舌《しゃべ》ったには饒舌りましたが、……自若としている。」
「自若として、」
「それは実に澄ましたものです。蟇《ひきがえる》が出て鼬《いたち》の生血《いきち》を吸ったと言っても、微笑《ほほえ》んでばかりいるじゃありませんか。早く安心がしたくもあるし、こっちは急《あせ》って、
(なぜまたこんな処にお一人で。)
と思い切って胸を据えると、莞爾《にっこり》して、
(だって、山蟻《やまあり》の附着《くッつ》いた身体《からだ》ですもの。)
と肩をぶるぶると震わしてしっかりと抱いた、胸に夕顔の花がまたほのめく。……ああ、魂というものは、あん
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